注文住宅をつくっていると、いたるところで税金を徴収されているのに気付かされます。
印紙税に、不動産取得税に、登録免許税 …などなどです。
今回の記事では建物に課税される税金をまとめてみます。
土地を購入したときにかかる税金については、こんなにかかるの!?住宅を取得するときにかかる税金たち〜土地購入時篇〜で。
注文住宅の建物にかかる税金はどんなものがあるんだろう?
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注文住宅の建物にかかる税金
注文住宅の建築時ににかかってくる税金は以下です。
かかってくる税金の種類としては土地購入のときと同じですね。
印紙税
印紙税とは契約を交わすときに契約書にかかってくる税金です。建物に関する契約書としては、建築士さんと交わす設計監理請負契約書や工務店と契約する工事請負契約書などがあるので、それらに課税されます。
印紙税の税額も土地と同様、契約書に記載された金額によって決まります。
2017年現在、印紙税には軽減税率が適用されています。(通常は本則税率になります)不動産の取得に関わる契約の場合は、2018年3月31日まで税額の軽減措置が設けられています。
不動産の譲渡に関する契約書で、記載金額が10万円を超えていれば、印紙税の軽減措置の対象です。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
10万円超 50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超 100万円以下 | 1000円 | 500円 |
100万円超 500万円以下 | 2000円 | 1000円 |
500万円超 1,000万円以下 | 1万円 | 5000円 |
1,000万円超 5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超 1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超 5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
建築士さんにお願いする設計料に対しては1000円、工務店への工事請請負契約に対しては1万円の印紙税が課されることが多そうです。
印紙税の納税方法は原則として 収入印紙 を契約書に貼って、割印を押印しての納税になります。
収入印紙を買える場所や注意点についてはこちらの記事で詳しく書いてみました。
建築士との設計監理契約・工務店との工事請負契約
消費税
消費税は土地に対しては非課税でした。建物代金の支払いではしっかり徴収されることになります。
建築材料や工務店への支払いにも消費税は課されますし、建築士さんへの設計料にも消費税は課されます。
そもそもの金額が大きいので消費税も普段の生活と比較すると、びっくりするくらい大きく感じます。
消費税を引き上げのタイミングで家づくりをしている場合、増税前に契約を済ませれば、税率変更後も増税前の消費税率でよしとする経過措置が適用されます。
消費税が10%に引き上げられるのは2019年10月1日と言われていますので、それより前に請負契約に準ずる売買契約を締結し、経過措置の適用を受けた場合、引き渡しが2019年10月1日以降なっても、引き上げ前の消費税率が適用されます。
工務店への支払い・設計料の支払い
登録免許税
登録免許税は、土地・建物を登記する際にかかる税金です。評価額に応じて税額が変わります。
注文住宅の建物に対しては、所有権保存登記と建物の抵当権設定をする登記が必要になります。これら登記の際に、それぞれ登録免許税がかかってきます。
(※司法書士さんへの報酬はまた別です)
建物の価値(評価額)や借入額(債務額)に税率をかけて税額が算出されます。(新築建物の評価額は建築費のだいた50〜70%くらいです)
登録免許税も、一定の条件を満たせば税率が軽減されます。
登録免許税がかかる注文住宅の建物に関する不動産登記は2つです。
所有権保存登記
新築の建物はだれの所有権も登記されていない不動産です。そのような不動産にはじめて所有権をつける登記が所有権保存登記です。
建物が新築された後、その建物の所有者は1ヶ月以内に建物表題登記(建物表示登記)を行わないといけません。(※建物表示登記には登録免許税はかかりません)
建物表題登記後、だれが所有者かを示す所有権保存登記をすることができます。
所有権保存登記をすることで、不動産の権利を第三者に主張できる 対抗要件 が備わります。
対抗要件が備わるというのは、建物の売買や相続、抵当権の設定などといった不動産の権利に関する登記をすることができるようになることです。
所有権保存登記をするかしないかは、所有者の任意です。法律上は、保存登記をしないことも認められていますので、登記しない場合は登録免許税はかかりません。
しかし、抵当権を設定できないことになるので、注文住宅の建物分も住宅ローンで賄わないといけないぼくの場合などは保存登記をしないという選択はありませんでした。
(※住宅ローンに限らず保存登記をしないと、他の登記ができなくなるので保存登記しないなんてケースは稀でしょうが…)
所有権保存登記のも税金の軽減措置があります。建物が建ってから1年以内に所有権保存登記するなど、一定の要件を満たした場合、時限措置によって2019年3月31日まで税率が1.5%になっています。(※通常は2%)
所有権保存登記をする際に、不動産がある市町村役所で住宅用家屋証明書を交付してもらい、保存登記に添付してもらうことで軽減措置を受けることができるようになります。
抵当権設定登記
住宅ローンを組む際に土地と同様、建物にも抵当権を設定する場合、抵当権設定登記をします。
税額は、債権金額に税率をかけて計算することができます。
一定の要件のもと、建物の抵当権設定登記の登録免許税も軽減措置を受けることができます。
- 適用条件
- 自分が住む住宅であること
- 新築または建ってから1年以内に登記されていること
- 床面積(登記簿面積)50㎡以上の広さがあること
適用条件をクリアしていると、通常0.4%かかる税率が0.1%になります。なんと1/4です。
税額の計算に使われる債権額は、住宅ローンの総借入額です。
建物分だけの金額などではないことに注意しましょう。
これは、抵当権を設定するにあたる原因が、同一の住宅ローンに基づいているからだそうです。
詳しくは以下のyahoo!知恵袋の回答がわかりやすかったです。
また注文住宅で、土地と建物合わせた金額の住宅ローンを受ける場合、金融機関にもよるそうですが、たいていの場合、建物の登録免許税の軽減措置を受けることができません。
理由としては建物の抵当権を設定できるタイミングです。
注文住宅では土地の購入時に建物が完成していません。所有権保存登記の項で前述した通り、建物完成後建物表示登記をしないと所有権保存登記はできません。つまり抵当権の設定などは建物引渡し後でないと行えません。
銀行は住宅ローン融資の段階(=土地契約時など)に抵当権を設定しますので、この段階では土地のみに抵当権設定になります。
土地の抵当権設定時の登録免許税は軽減措置がありませんから、債権金額に対して0.4%の税率が課されます。
建物引渡し後、建物も抵当権にいれるよう金融機関から言われると思いますが、すでに土地が担保としなっている登記に建物に追加で抵当権をつける登記をすることになります。(※これは抵当権追加設定登記という変更登記とよばれるもので、ちょっとだけ別物になるそうです)
抵当権追加設定登記で建物を共同担保とする場合は、登録免許税は1物件に対して1500円で登記することになります。
というような手順になりますので、登録免許税の軽減措置が受けられなくなります。
ぼくが住宅ローンを組んだみずほ銀行では、土地代金の支払いを先行融資してくれる分割実行を行うことができますが、土地の融資実行のタイミングで土地だけで抵当権設定登記を行わないといけないそうです。
この方法だと、新築建物の登録免許税に適用される軽減措置が受けられないため注意が必要です。
(※金融機関によって抵当権設定のタイミングが違う場合があるようですので、ご利用の金融機関に問い合わせてみるとよいと思います。みずほ銀行での抵当権設定登記については別の記事でもまとめます)
住宅ローン契約時の所有権保存登記と抵当権設定登記のとき
不動産取得税
不動産取得税はは売買・贈与で不動産を取得するときに課せられる税金です。新築・増築したときに都道府県が課税する、地方税になります。
建物取得後、6ヶ月〜1年半くらいの間に各都道府県税事務所より「納税通知書」が届くので、納税します。
建物の不動産取得税額は、建物の固定資産税評価額と税率を用いて算出されます。通常はこんな感じです。
2017年現在、不動産取得税も軽減措置があります。一定の要件をクリアし、建ててから60日以内に申告する必要があります。
軽減措置を受けた場合の税額の計算式は以下です。
一定の要件とは、
- 居住用含め住宅全般に適用(マイホーム・セカンドハウス・賃貸用マンションなど)
- 床面積が50㎡以上240㎡以下
になります。
東京都の都道府県税を管理しているのは東京都主税局になります。
その他の県の場合は「不動産取得税 〇〇県税事務所」などで検索すれば担当の主税局が見つかるでしょう。
建物取得時に発生。納税は建物引渡し後、数ヶ月してから
固定資産税・都市計画税
不動産を所有している人は毎年納税することになるのが固定資産税と都市計画税です。
毎年1月1日時点で建物を所有している人が納税義務者となります。
不動産取得税と同様、市区町村から納税通知書が届き納税することになります。
固定資産税評価額を課税標準として計算されます。
都市計画税 税額=固定資産税評価額×0.3%
新築住宅の建物に対して、固定資産税は2018年3月31日に新築された場合、軽減措置があります。120㎡(登記簿床面積)までについて、3年間(もしくは5年間)固定資産税が1/2に軽減されます。
一般住宅 → 新築から3年間
都市計画税は、新築建物に対しては原則として軽減措置はありません。しかし、市区町村によっては軽減措置を条例でも受けている場合もあるそうなので、担当の税事務所に確認してみると良いと思います。
注文住宅の建物の固定資産税は、土地と違って別の納税義務者がいるわけではないので、日割り計算などによる精算は発生しません。
建物取得の翌年から毎年
贈与税
建物建築にも親や祖父母などの親族から資金を援助してもらった場合、贈与税の支払い義務が発生します。
贈与税には、暦年課税と相続時精算課税がありますが、基本的にはこんなにかかるの!?住宅を取得するときにかかる税金たち〜土地購入時篇〜での説明と同じになります。
贈与を受けた翌年の確定申告
いたるところに税金が出現
土地の購入とはまた別に、建物にもしっかりと税金が課せられることがわかりました。
軽減措置も多く準備されていますが、申請しないといけなかったり、軽減措置適用にも期限があったり(その期限も税金の種類によりばらばら)、複雑極まりないですね。
まったく家づくりの税金って一体どうなってるんでしょうか。
まとめてはみましたが、まだまだわからないことがいっぱいあります。
不動産にかかわる税金については、三井不動産リアルティのページの解説ページがわかりやすくまとまっています。ケーススタディも参考になりました。
知らないと損することもありますね。家づくりは日々勉強の毎日です。