東京の郊外で注文住宅を建築中です。
建築士との設計打ち合わせを行ったところ、壁と天井にシナ合板を使ってみようと提案されました。
壁にかけるお金を減らせば、予算の削減に大きく繋がるそうで、
(その理由は、くわしくは壁面にかける金額を抑えれば総工費の節約になる!?その理由とは?で。)
そんなわけで提案されたのがシナ合板。
しかも無塗装。
さて、 シナ合板 とはなんでしょう?シナ合板のメリットとデメリットとは?
シナ合板ってナンダロウ?
シナ合板ってナンダロウ?
シナ合板というのは、シナノキ(榀の木)という木材を、薄く切った板を重ね合わせたもの。
シナベニアとも呼ばれます。
シナは、薄い肌色に近い明るい色です。
主張しすぎる木目や木肌などの癖も弱く、端正な質感が特徴的な素材です。
どちらかというと白木に近い印象で、
モダンなインテリアになりやすい材料です。
壁や天井などの前面に貼っても、山小屋のような木目ばかりのうるささが出ず、
シンプルなまま、木の雰囲気を味わえる、木に囲まれた空間に仕上げることができます。
木の質感が見えるので、温かみのある空間を体感できます。
また紫外線を浴びることによって時間が経つと木が焼けます。
それがまたなんとも言えない味わいある壁になって行きます。
木の雰囲気は感じたい、でも木目の節で壁全体が覆われるのはちょっと…
と言った場合に、木雰囲気をうるさくない程度に感じることができるのがシナ合板仕上げです。
なんといってもコストが安く、そのためよく使われるものだそうです。
シナ合板は建築士の設計した住宅では、仕上げ材としてよく使われるもので、
その逆に、住宅メーカーの仕上げ材として使われない材料でもあります。
まさに建築士にお願いした家なんだという証にもなりますね。
シナ合板のメリット・デメリット
シナ合板のメリットとデメリットをまとめてみます。
シナ合板のメリット
- 無垢板張りよりローコスト
- 石膏ボード+ビニールクロス仕上げに比べてもローコスト(かも?)
- 合板とはいえ木材
- 木目が穏やか
- 何もしないと色味が白木っぽくて、高価そう
- 耐久性や劣化状況はクロスとそんなに変わらない
- 木の経年変化が楽しめる
シナ合板のデメリット
- 表面が柔らかい
- 木目がはっきりするのでクリアの保護塗装すらできない
- 壁を綺麗なまま保つには、日々の生活でのケアが必要
- 施工には精度が必要で、簡単な工事ではない
- 日当たりの良い部分(南面掃き出し窓前の床など)は、直射と結露の繰り返しで傷みやすい
- 高級感にはやや欠ける
こんな人には向いていない?
そもそも木が嫌な人、木が焼けるのが嫌な人、几帳面な人には向いていない仕上げだそうです。
今回は、ぼくが建築士にオーダーした中で、「なるべく木の質感を感じられる家」と伝えていたので
シナ合板仕上げを提案してくれたのだと思います。
シナ合板の「目透かし貼り」
シナ合板同士をくっつけずに、合板の厚さ1枚分の隙間を作りながら貼っていくことを
「目透かし貼り」と言います。
合板の周囲に隙間を空け、目地を取ります。
目地があることで、一枚一枚大きな面が取られているシナ合板でも、
仕上げ面がペタッとしたのっぺりした印象にならず、
きれいに隙間にはいった目地のラインが幾何学的な模様を作り出し、
空間の引き締め効果を高めてくれます。
合板の割付も、壁と天井と目地が揃うようにラインを出していくと、
きれいな空間になります。
目透かし貼りのもつ幾何学的なキリッとした印象と、そもそもの木材を使った柔らかい印象が合間って、
生活するのにちょうどよい空間の仕上げになります。
ちなみに、板同士の隙間を空ける目透かし貼りとは逆に、合板同士をぴったりとくっつけて貼る方法を「突き付け貼り」と言います。
板の隙間に目地のラインが入ることがないので、すっきりとした壁や天井になるそうです。
シンプル仕上げ
シナ合板を使って仕上げると、壁や天井を全体的に統一感のあるシンプルな仕上げにすることができます。
シナ合板に目透かし貼りを施す際、目地をきれいに割りつけて貼っていくことが重要です。
貼る前に事前に壁面全方向の展開図と天井伏図を作成し、目地を割りつけてから作業を始めるのがよいそうです。
事前の図面準備も手間ですが、現場の大工作業にも手間がかかります。
シナ合板の規格サイズは1枚が約90cm×180cm。
図面通りにシナ合板の規格サイズから必要なサイズの寸法にカット。
さらにサイズを確認、採寸しながら一枚一枚丁寧に貼っていくことになります。
貼り方は、ピンネイルと速乾ボンドを併用して貼って行きます。
シンプルな分、手間のかけ方が仕上がりに大きく影響を与えます。
色々と調べると、コストダウンのひとつとして、
シナ合板仕上げを定番にしている工務店もあるようです。
一般的に使われるクロスでの仕上げよりも手間という面ではかかりますが、
木の質感と、その香りが楽しめるのが、シナ合板仕上げということです。
シナ合板を着色する
シナ合板を着色することもできます。クリア塗装ならツヤの具合を注意すればうまくいきます。
着色する場合、濃い色を塗ると濃淡の色むらが出やすいので、塗料選びは慎重にしないといけません。
シナ合板の代わりになる素材は?
シナ合板の代わりとなる仕上げ材もあります。
ラーチ合板
ラーチ合板は、主に構造用に使われる下地材料。
比較的価格は安いです。
シナ合板よりも、木の節がはっきりと出ているのが特徴で、木としての癖が強いです。
しかし仕上げ材としては少し「弱さ」もあるようです。
反りやすかったり剥がれやすかったり。
OSB合板
ラーチ合板と同様、DIYでおなじみなのが「OSB合板」です。
木材の小片を接着材と混ぜて熱圧成型した板である木質ボードのひとつで、
北米で住宅の構造用下地材として開発された面材です。
合板と同じような強度と剛性を備え、断熱性、機密性、防虫生にも優れているものだそうです。
表面の見た目としては、自然な木材というよりは、
木材を素材にして、まさに人工的に作られた感じが、
木材の暖かさと人工的なクールさを兼ね備えた雰囲気を適度に出しているのかもしれません。
シナ合板は選択肢のひとつ
家造りってなんだかんだいろいろと費用がかさみます。
壁や天井などは、構造体としてしっかりしていないといけない機能的な側面と、
生活していたら嫌でも視界の中に入ってくるという暮らしやすさに関わる面との
両方を兼ね備えていないといけません。
壁や天井は、占める面積も大きいので家全体のトーンを決めてもきます。
そうなると、好き嫌いも大きい部分ですよね。
コスパと相談しながら、じっくり考えたいところです。
クロス仕上げよりも個性が出そうなところを、長所と見るか短所と見るか。
家造りって、これだから楽しいですね。
シナ合板は手間がかかるけど、木の特徴を出せるコスパの良い仕上げ材